セカンドライフと「やることがない症候群」

最近、仮想空間「セカンドライフ」(SL)にほとんどログインしなくなった。ログインしてもせいぜい10分程度ぶらぶらして、知り合いはいないか探すぐらいで止めてしまう。寝る前の比較的遅い時間だと誰もいないことが多く、結局何もしないで終わりとなる。今年の初め頃に始め、ほとんど毎日のようにSLの世界に入り浸っていた私も、とうとう、「やることがない症候群」に陥ったのかもしれない。

SLの批判者がよく言う「物作りとかの目的がないと何をやっていいか分からず途方に暮れる」というアレである。新規登録者の定着率の低さもよく指摘されることだ。

SLの登録人口は1000万人をすでに超えたようだ。けれども、最近はメディアの扱いも少し低調な気がする。新聞などに取り上げ始められたのは、丁度1年ぐらい前だった。4月ぐらいからテレビなどでもかなり取り上げられるようになった。

私は無料のベーシック会員でクレジットカードの登録もしていないし、土地も所有していない。洋服だとか小物だとかのものづくりもしていないし、スクリプトも書けない。お金もないから買い物もほとんどできない。そんな私の楽しみは、様々なSIMめぐりだった。それだけでも十分楽しめたのだ。

自分の車が無料でもらえる日産の島から始まって、NAGAYAやピクセル相撲、ヤンキースタジアムなどをぶらぶらしたり、AOLのスケボーで滑ったりすることを満喫した。最初の頃は花見のイベントとかダンスとかに参加してみるのも面白かったし、知り合った友達とおしゃべりするのも楽しかった(これは今でも面白い)。外国人と気軽に英語で会話することもできる。日本人が集まる居住SIMもたくさんできた。いくつかのグループに所属してみた。

でも、さすがに半年以上も経ってみると、やることがなくなってきた感じがする。色んな企業による新規参入や目新しいSIMも次々に登場しているようだが、「是非行ってみよう」というところまで気分が乗ってこない。

このままフェードアウトしてしまうのだろうか。

●今後の仮想空間に期待すること
とはいえ、仮想空間に興味を失ったわけではない。12月から「meet−me」という日本の仮想空間サービスが始まるらしいが、東京23区を模したものなので、自分の家の周りがどうなっているのか見てみたい。マックでできれば、試してみると思う。

それから、「Twinity」というドイツ発のサービスも面白そうである。詳細は判明していないが、ヨーロッパのリアルな世界を模した仮想空間らしい。プレーヤーには家が与えられるようだが、これは長く続ける上で結構重要なのではないだろうか。それはなぜかというと、

  1. 家のレイアウトなどを工夫したり、友人を招待することで「やることがない症候群」を回避できる。「どうぶつの森」的なゲームの要素がある。
  2. 自分の「家」がSNSの個人ページのようなものになり得る。

2については、iGoogleのようなwebのスタートページの3D版にもなることも考えられる。つまり、PCのスイッチを入れたら、取りあえず仮想空間の「家」を立ち上げて、その中で作業をするようになる。スクリーン上の「居間」でネットサーフィンをしたり、「書斎」で書類の整理なんかもできるようにするわけだ。

セカンドライフは何でも好きにできるのが売りではあるけれども、現代人、特に社会人には時間がない。自分の居場所になる「家」が所与のものとして存在し、具体的な目的・目標がある方が、「アーリー&レイトマジョリティ」な層にとってはとっつきやすい。その他に、柔軟なカスタマイズ機能を持たせればいいのではないだろうか。