ガラパ星からきた男

藤子・F・不二雄の最後の中編「ドラえもん」作品、「ガラパ星からきた男」を読みました。通常の短編作品以外では大長編作品が有名ですが、「のび太の恐竜」の最初のバージョンや「ぼく桃太郎のなんなのさ」のような中編作品もいくつか書かれています。「ガラパ星」は94年に、連載25周年を記念して小学3、4、5年生に掲載されたそうです。1ヶ月ぐらい前に、とあるブログを見ていて、そんな作品があることを知り、早速、アマゾンでドラえもんの45巻を購入しました。

作品は50ページ余りで、大長編から比べるとかなり短い印象で、友達5人組の活躍という大長編特有の趣もありません。「ガラパ星」はガラパゴス諸島から名前を取ったのか分かりませんが、遺伝子改変生物が登場するお話です。前年に公開された「ジュラシック・パーク」の影響もあるのかなと一瞬思いました。

小学生以来、熱心な藤子Fファンのつもりでしたが、高校、大学と年を経るにつれ、アニメ版も漫画版もほとんど読まなくなり、「ガラパ星」の存在を知らずにいました。しかし、F氏の死後11年も経ち、もう読めるはずのなかった「新作」として読めたのは幸せでした。

ドラえもんのアニメ版は声優を総入れ替えして放送しており、映画版も毎年製作されていますが、正直複雑な気分です。F氏のように新作短編をまとめ上げる技量のスタッフがいるとは思えないし、大長編もタイトルの付け方からして、藤子テイストを外れています。

大長編で完結編があればよかったのに思わずにいれません。名作のまま完結して欲しかったからです。都市伝説となった「最終回」は素晴らしいプロットですが、あくまで「都市伝説」ですからね。

ドラえもん (45) (てんとう虫コミックス)

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